青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

お薦めの一冊「七宝とカメオ」A・E・マルティ

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たまたまブログを見たアンティーク好きの旧友からメールで 「アール・デコ挿絵本なるものを一冊手に入れてみたいがお薦めは ? 」とのこと。ウーン一冊だけとなるとこれは意外に難しい !

手始めはポショワール彩色の挿絵本がいいでしょう。なんといってもアール・デコとともに栄えて滅んだ幻の彩色技法です。画家は二大巨匠のバルビエかマルティか。ただバルビエから選ぶとなると、相場数十万円の「艷なる宴」か美本双書の4冊になります。1000円以上の本は高い ! と思い込んでいる一般人に薦めても正気扱いされないでしょうからやめておきます。

ここはやはり選択肢の多いマルティ、なかでもピアツツァ書店本を候補に。発行部数が多いのでポショワールの質が高いわりにお手頃です。物語性豊かな “ 青い鳥 ” 、見開きいっぱいの本文挿絵が見事な “ 風車小屋便り “  、ロマンチックな挿絵と装飾性が魅力の “ 七宝とカメオ ” などそれぞれお好み次第ですが、友人には “ 七宝とカメオ ” を薦めておきました。本文の挿絵もさることながら、仮綴じの表紙絵が優美なのも魅力です。発行部数も多いので、仮綴じも美しく装丁したものも多く出回っています。

これを機会にポショワール彩色が気に入れば他のピアツツァ本をゲットするもよし、マルティ特有の陰影の美しさが気に入ればエッチングやアクアチントの挿絵本に向かうもよし。そのうち彼がトリアージがどうしたとか局紙刷りでなければなどと “ うわ言を ” 言い出して、限定挿絵本の泥沼にはまり込んでいくのを楽しみにするとしましょう。

 

今日の一冊 : 「七宝とカメオ」1943年、ピアツツァ社刊。