青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

和田誠がいっぱい!

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会場に一歩足を踏み入れると、まさに和田誠がいっぱい。

グラフィックデザインだから、たくさんあっても壁に貼ればなんとか収まるのか!と、変なことに感心しながら回りました。

見終わると、いつもの展覧会とはちがう、何やらずっしりとした感慨が・・・
ボリュームのせいばかりではありません。

週刊誌、タバコ、映画ポスター、本の表紙・・・ かつて見慣れたグラフィックが改めて展示されると、まるでもうひとりの自分がスポットを浴びて人前に立っているような変な感じです。

それもそのはずで、これらおなじみの色や形は、目から入って脳の片隅で記憶と同化している点では " 我が身 " に違いありません。

映画エッセー " お楽しみはこれからだ " は今も本棚の手の届くところにあります。週刊文春の愛読者なら毎週和田の表紙を目にしたでしょう。私は吸わないけど、愛煙家なら少なくとも日に10回以上は手にしたハイライトの、ブルーと斜体ロゴのパッケージデザインは脳のどこかに刷り込まれているはずです。肺胞に残ったニコチンタール以上に、いや、たとえが悪いので言い直すと、以前に食べたステーキが今の自分の肉体に同化しているように。

これだけ多くの作品が何万、何十万と印刷されて日本中に広がったのですから、人びとはドラえもんポケモンなみに和田グラフィックを " 消化 " したはずです。しかも私の場合ほとんどの作品がリアルに同時代。だからなおさら感慨深いのでしょう。

この展覧会は先月終了しました。巡回展はないのかなあ・・・近場ならもう一度出かけたいものです。