キングスマン:ファースト・エージェント 王道スパイアクション、マシュー・ヴォーン風味
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コロナで、おあずけを食っていたスパイアクション映画二作「キングスマン : ファースト・エージェント」と「007 /ノー・タイム・トゥ・ダイ」が昨年末にようやく公開。大いに楽しめたのは007より「キングスマン : ファースト・エージェント」のほうでした。
ショーン・コネリ- = ボンドで大人のカッコよさを知ったかつての高校生としては、過去の恋に悩むボンドなど見たくはないのですよ。美女をはべらせてシャンパン!なんてのがイマドキじゃないのはわかるけど・・・
さてその「キングスマン : ファースト・エージェント」
見どころその一、 なんといっても怪僧ラスプーチンとオックスフォード公爵の壮絶バトル。チャイコフスキーにのって、舞うような剣さばきを見せるラスプーチンに応戦する、エンビ服にパンツ一丁の公爵がケッサク。
見どころその二、 悲劇的な挿話が、のちの「キングスマン」設立の動機になったとわかって納得。このパートは重厚な戦争映画の風格が・・・
見どころその三、 英国王ジョージ5世とロシア皇帝ニコライ2世、なんだか似てると思ったらトム・ホランダーの二役だった。いとこ同士の二人は実際にそっくりで、側近もとまどうほどだったらしい。写真も残っています。トム・ホランダーは、あまり似てないもう一人のいとこヴィルヘルム2世も演じて結局一人三役です。他にも第一次大戦前後の史実をうまく織り込んでストーリーに奥行きが出ています。
見どころその四、 老将軍役のチャールズ・ダンスがいい味出してます。この人いつ見ても将軍やってるなあ。実在したキッチナー将軍とそっくりです。
見どころその五、 公爵と息子コンラッドのファッション。毎回メンズファッションが見どころのキングスマンですが今回は礼装や軍服も多いのでバラエティ豊か。
見どころその六、 本名を名乗れない若い下士官が「ランスロットがアーサー王を訪ねてまいりました」と公爵への取りつぎを願うシーン。キングスマンのコードネーム誕生の伏線に。ちなみに第一作の「アーサー(マイケル・ケイン)」と今回の「オックスフォード公爵=アーサー」は同一人物ではありませんよ。時代が100年飛んでます。
見どころその七、 ヤギの怪演。
見どころその八、 エンディングでは、のちに史実で悪のラスボスとなる若者が登場します。続編の予感が !!
ポリコレ縛りでなんだか窮屈になった007に対して、こちらは今回もたびたび首が落ちるせいで R 指定らしいですが、マシュー・ヴォーン監督、気にせずガンバってほしいものです。ちなみに第一作と違って首が落ちても虹色の煙が上がるようなパンクテイストはありません。
前二作とは一味違う「キングスマン : ファースト・エージェント」は、ショーン・コネリーやロジャー・ムーアの007スピリッツを受け継ぐ王道スパイアクション映画です。