青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

世渡り上手なアール・デコの寵児 「マズリパタンの王様」U.ブルネレスキ

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古書の世界で「アール・デコ挿絵本」は定着した呼び名ですが、必ずしも「名」が「体」を表しているわけではありません。二大巨匠であるバルビエとマルティは流行としてのアール・デコスタイルを超えた独自の画風をつらぬきました。また、マルティの最後の挿絵本はアール・デコ期をはるかに過ぎた1950年代に出版されています。

一方、ルパープやブルネレスキはまさに流行としてのアール・デコを体現した画家といえるでしょう。ブルネレスキの「フィリ」や「マズリパタンの王様」は我々がイメージする通りのアール・デコスタイルによる名作です。

しかし流行はやがて終わりを迎えます。クールだったアール・デコは1930年代になるとすっかり流行遅れになってしまいました。

それぞれが新しいスタイルを模索する中、陰鬱なマニエリスムに低迷したルパープに対してブルネレスキは優美な色彩と官能的なデッサンで、高級ポルノ挿絵の人気者になりました。なかなか世渡り上手なイラストレーターです。

画像は上段が「マズリパタンの王様」1926年、下段が「庭園での恋愛指南」1933年。

 

今日の一冊:フランシス・ド・ミオマンド著「マズリパタンの王様」1926年、モルネー書店刊。