挿絵本のラスボス現る⁉ 「ビリティスの歌 真正・完全版」G.バルビエ
全世界が鎖国している中、商売熱心な古書店はWebカタログをいつにもまして頻繁に配信してきます。店を閉めている分ネットで頑張ろうという思惑でしょうが、その割に値段はあまり下げていないのがフランスらしいところです。
そんな中、稀少本のファクシミリ出版を手掛けるマドリッドのJ.M.SANTOS工房から驚きのメールが届きました。
「愛書家の皆様に特別のご案内を差し上げることをお許しください。このたび私どもは『ビリティスの歌 真正・完全版』の挿絵本を限定69部でファクシミリ出版する運びとなりました。このテキストは、あまりの官能性ゆえピエール・ルイスが生前には刊行を許さなかった原稿を加えた完全版です。出版元、印刷元さらには挿絵画家すらも名を伏せて刊行されていますが、まぎれもなくバルビエの手になる挿絵です。私どもはフランス国立図書館に残る一冊を元にファクシミリ版を作成し・・・・・・」
なんと!では挿絵本の最高峰として広く知られる「ビリティスの歌(コラール書店版)」は " 不完全版 " だということか!そんなことは鹿島茂先生の解説にも載ってないぞ!
で、調べてみたらありましたよ。過去のクリスティーズカタログにいわく。
「『ビリティスの歌 真正・完全版』 未発表の22の詩はドゥルオーのオークションに現れたピエール・ルイスの自筆原稿をもとにしている。バルビエの原画、ピール・ブーシェによる木版刷りで、1929年刊。発行部数わずか25部。アール・デコ挿絵本における最も稀少で重要な作品である。バルビエの自筆水彩画付き。カスティーヤ侯爵の蔵書票あり。オークション開始価格300万円。入札のお問い合わせはクリスティーズカスタマーセンターまで。」
" あ~そうですか!" " 侯爵殿がオリジナル本の所有者なら、当方はファクシミリ版あたりが相応ですかね!" と、ヒガんでみても始まらないので、一応予約は入れました。はたして何が届くかな。挿絵本のラスボスか、あるいはとんだトリックスターか。
というわけで後日につづく・・・・
画像はサントス工房とクリスティーズの資料から転載しました。
今日の一冊: ピエール・ルイス著「ビリティスの歌 真正・完全版」1929年刊。