青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

素手で楽しむ「ビリティスの歌」G.バルビエ

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 コレクターで富裕層でもあるあなたが、ある日アール・デコ挿絵本の最高峰「ビリティスの歌」を買おうと思い立ちます。買うのは難しくありません。このクラスの超高価本は意外によく市場に出ます。現に今も560万で市場に出ています。

ただし買う前に必ず高断熱で、温度や湿度変化の少ない部屋をご用意ください。窓の結露など論外です。

560万をポンと決済して待つこと一週間、恐る恐る梱包を解いて書棚に収めて一安心、さて、どう楽しみます?年に数回取り出して息を殺してページをめくる?手袋をした方がいいかもしれませんね。

ところでいま私は「ビリティスの歌」を眺めています。手袋はしていません。大型本の重みをヒザに感じながら素手でページをめくります。さすがに指はナメませんが。

超稀少本を気軽に楽しめる裏ワザが実はあるのです。560万の予算はいりませんが6万くらいはご用意ください。

マドリッドの工房がすばらしいファクシミリ版(完全復刻版)を作っています。極厚のファブリアーノ紙にオンデマンド印刷、おまけに麻クロス装、背革でスリップケース付き。所有する満足感も十分です。鹿島茂コレクションの展覧会でオリジナルを見て比較しましたが、色の再現性も申し分ありません。

この工房はバルビエとシュミットの稀少本に限ってファクシミリ出版しています。「とても有意義なプロジェクトですね」とメールしたら「有意義であり、誰かがやらねばならないプロジェクトです‼」と返ってきました。使命感に燃えた工房です。

 

今日の一冊 : ピエール・ルイス著「ビリティスの歌」1922年ピエール・コラール書店刊。/ ファクシミリ版 マドリッド Javier Martin Santos工房