青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

アンドレ・プットマンあるいは       ポストモダンとしてのアール・デコ

 

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 バブル華やかな頃、ある億ションの内覧会に参加したことがあります。もちろん冷やかしですよ。もともと買う気はないというか、たとえ気はあっても・・・まあそれはともかく、お目当てはアンドレ・プットマン設計という触れ込みのインテリアでした。行ってみると、彼女が手掛けたエントランスロビーは確かに魅力的でしたが他のスペースはすべてゼネコンの社内設計で、バブル日本の底の浅さを見る思いでした。

アンドレ・プットマンは1980~90年代に活躍したフランス出身のカリスマデザイナーです。“ 予算があるならプットマン ” とばかりに、ホテル、ブティック、レストラン、美術館などがこぞって彼女にラグジュアリーなインテリアを発注しました。サンローランやラガーフェルドのブティック、さらには超音速機コンコルドの内装まで手掛けています。  

どちらかというとポップで軽いポストモダンのデザイン群にあって、彼女の持ち味は異彩を放っていました。モザイクタイル、大理石、マホガニーといった贅沢な素材による幾何学的な造形はまさしくアール・デコそのものです。独特の硬質な豪華さは、それまで長く続いた無機的かつ “ 民主的 ” なモダンデザインに飽き飽きしていた贅沢好きの人々をひきつけました。

明確な “ イズム ” を持つには至らなかったポストモダンのムーブメントの中で、彼女が示したアール・デコの再解釈はこれからも贅沢なインテリアの主流であり続けるでしょう。