青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

熊川哲也 Kバレエ カンパニー “ 白鳥の湖 ”

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画像はKバレエ カンパニー公演パンフレット

 

Kバレエ カンパニー3月の公演は「白鳥の湖」でした。あまりに王道のレパートリーですが、それだけに新しい発見もあって楽しめました

プリンシパルソリスト小林美奈が、清楚というよりむしろ妖艶なオデットとひたすら邪悪なオディールを演じ分けて見事でした。同じく表現力豊かな山本雅也を相手に、濡れ場のような濃いパ・ド・ドゥを見せてくれました。杉野慧のロットバルトも迫力の中に繊細な表現が見られて好演でした。さらに狂気や邪悪さが加わればいっそう見応えが増すことでしょう。宮尾俊太郎の、王子なぞ一瞬で食い殺してしまいそうなロットバルトを思い出します。

創立以来のメンバーたちが卒業した後、移籍入団の日髙世菜を含む今回の主役たちがこれからのカンパニーを支えていくのでしょう。スムースな世代交代を果たした熊川人事が冴えています。熊川哲也といえば、弱冠20代にして英国ロイヤルバレエのプリンシパル仲間を引き連れ、日本でのセルフ・プロデュース公演を打ったやり手です。仲間にはあのアダム・クーパーもいました。きっとニジンスキーとディアギレフの両方から祝福された人なのでしょう。