青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

A・E・マルティ 挿絵本ランキング (その1 )

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シャルル・ド・ゴール空港で足止めをくっていた一冊が三週間ぶりに届きました。待望の一冊です。これでめでたく、A.E.マルティの挿絵本59点をすべて手にすることができました。引き続きの目標は、トリアージや装丁によってコレクションを入れ替えていくというもので、こちらは当分終わりそうにありません。
コレクターとしてはどの作品にも愛着はありますが、今回は目標達成を記念してマルティ挿絵本のベスト10を選出してみましょう。彼の場合、挿絵そのものの出来、不出来はあまりありません。ここでは挿絵本自体をアート(作品)でありプロダクト(製品)であると見て、その魅力度を評価してみたいと思います。

評価の項目は、挿絵の質と量、テキストとの親和性、レトリーヌ(飾り文字)やタイプフェース(活字体)を含むブックデザイン、スリップケースやカバーといった出版時のパッケージなどです。トリアージ(紙ランクなど)は考慮せず一作品一点として扱います。なおテキストの内容や個々の装丁は評価対象としません。

本来は一作品ずつ論評していくべきでしょうが、そうすると本一冊分にもなってしまいます。そこは脳内で済ませることとして、ここでは技法と発行部数で分けた4ゾーンからのノミネートで始めることにします。

第1ゾーン / ポショワール彩色(2000部以上)。第2ゾーン / ポショワール彩色(2000部未満)。第3ゾーン / モノクローム版画(エッチング、アクアチント、リトグラフなど)。第4ゾーン / 印刷(オフセット、グラビア、フォトタイプなど)による挿絵、の4ゾーンです。

次回はまずマルティ挿絵本のボリュームゾーンとも言うべき、大部数のポショワール挿絵本を取り上げます。

(つづく)