青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

昭和レトロ “ 知らないのに懐かしい ”

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上段は西武園ゆうえんち「夕日の丘商店街」、下段は昭和レトロの構成アイテムたち

 

昭和レトロが人気だそうです。古い家電やホーロー看板がネットで取引され、西武園ゆうえんちは昭和レトロのテーマパーク「夕日の丘商店街」をオープンしたとのこと。ホントに大丈夫かな・・・
30年あまりで完結した「平成」を挟むことで「昭和」は心おきなく懐かしめる大過去になったということでしょう。

で、早速YouTubeで「夕日の丘商店街」を覗いてみました。すずらん灯の下に駐車するミゼット(三輪ミニトラック)、ズンドウの郵便ポスト、錆びたホーロー看板、全体にうっすらと古色のついた街並みがなんとも懐かしさを誘います。そうか、この古色が平成、令和世代に「知らないのに懐かしい」を演出する隠し味になってるんですね。セピア色の古写真に残る見ず知らずの街にノスタルジーを感じるのと同じです。

しかしもちろん、当時その街が本当にセピア色だったわけはありません。私自身が遊び回った商店街にもあんな古色はついていませんでした。大売り出しの餅花は鮮やかなピンクで、走り回るミゼットも買ったばかりの電気釜もピカピカ輝いていたし、粉末ジュースは怪しくもケミカルなオレンジ色でした。思えば結構カラフルでキッチュで猥雑な世界です。第一、都会は戦後の復興からまだ数年で、古色のつきようもなかったはずです。

このテーマパーク「夕日の丘商店街」は、古色によって半世紀という時間の距離感 ( ? ) を作り出し、ファンタジーとしての昭和を見せてくれるのです。昭和のファンタジーとリアルの関係は「ALWAYS  三丁目の夕日」と「本当は怖い昭和30年代」を見るとよく分かります。心優しい素直な方には前者を、ひねくれ者には後者をお勧めします。いや、逆の方がいいかもしれませんね。

思い起こせば商店街はキッチュでも、晴れた夏空は青く、雲は白く、朝のラジオ体操はランニングシャツ一枚ではまだ肌寒かった・・・などと書けばまたファンタジーになってしまいそうですがこれはリアルです。