フランソワ・ポンポン展 瓦屋根の下に集まった動物たち
アールデコのインテリアによく似合う優美なシロクマや滑らかなフクロウの彫像には見覚えがありましたが、作家の名は知りませんでした。パンフレットでその名をフランソワ・ポンポンと知ったときもシャレたペンネーム ? と思ったくらいです。
アールデコのアーティストといえばバルビエやルパープといった繊細で美意識の塊のような人物像が浮かびますが、ポンポン(どうやら本名だったようです)の肖像を見ると少し様子が違います。白い髭を蓄えた朴訥としたジイサンです。
家具職人の息子で、石工から彫刻家を志してロダンに弟子入りし、下彫りの助手を経て動物彫刻家になったそうです。大型彫刻で有名なブールデルに「もっと大きくしてみたら?」と勧められて作った実物大のシロクマが人気のきっかけになったというエピソードは面白いですね。動物のムーブメントを表現するために追求した滑らかなフォルムが、期せずしてアールデコのインテリアにマッチして一躍売れっ子になったというのも愉快です。
陰鬱な帝冠様式 ( 洋風建築に神社の屋根を載せたアレです ) の京都市京セラ美術館にオシャレな動物たちが似合うかどうか心配でしたが、内部はモダンに改装されていてひと安心。でもどうせなら建て替えてほしかったなあ。