年代物の耳とオーディオ
32年ぶりにオーディオのアンプを交換しました。ここしばらく音楽から遠ざかってるなあ、システムの音のせいか?あるいは自分の耳の劣化かな?とチェックをかけたところ、年代物のアンプが原因と判明した次第です(もっと年代物の耳のほうはまだ大丈夫 !? )。音色は気に入っていたので、結局同メーカー同シリーズの後継機を選びました。
アンプを30年以上放置していたのだからオーディオマニアとはいえませんが、いい音で聴きたいのと多少モノマニア(物マニア)でもあるので、選定には気を使います。システムの基本はROGERS LS5/9という今はなきメーカーのスピーカーで、これも30年ものですが、5年前にオーディオ・ラボ (小川電器) でオーバーホールしていっそう快調になりました。見かけは地味なブックシェルフですがとても高音質で、BBCのスタジオモニターという素性も気に入っています。最近別のメーカーが同じ型番でレプリカを発売しました。
アナログプレイヤーはジャッケトサイズ、リニアトラッキングの名器SL10。当時オーディオに力を入れていたテクニクス(パナソニック)渾身のプレイヤーです。この機種のために開発したプラグインのカートリッジが世界標準になってしまうほど、日本のエレクトロニクスが世界をリードしていた時代です。そのデザイン性からMOMAの永久保存にもなっています。ピュアなアナログオーディオファンなら別のプレイヤーを導入するでしょうが、この機器が持つストーリー性は抜群です。
そのほかの機器、D/Aコンバーターやらパソコン(これもオーディオ機器)は日進月歩なのであまり思い入れはなく数年に一度は交換します。
オーディオシステムの試聴にはいくつか決まった音源を使います。新録音ではありません。新録音の音がいいのは当たり前なので試聴にならないのです。よく耳になじんだ音源がどのように聞こえるかで、そのシステムの性質がよくわかります。
今回のアンプ、ピアノとヴォーカルはとても満足です。ローズマリー・クルーニー姐さんは広がりのあるコンコード・ジャズ・オールスターズをバックにして真ん中に立っています。ディスタンスは十分です。
モーツァルトのピアノソナタはスタインウェイをのぞき込むような音がします。内田光子が目の前で髪を振り乱しているようです。少し怖いです。
ジョシュア・ベルと後藤龍のヴァイオリンは高音がまだきつい。エージングを待つか、D/Aコンバーターとのバランス接続でも試してみるかな。