青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

A・E・マルティ 挿絵本ランキング (その2 )

 〈  第1ゾーン ポショワール挿絵本 / 2000部以上 〉

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上段左から「青い鳥」「君と僕 1939年版」「七宝とカメオ」 /  下段左から「風車小屋便り」「ミュッセ作品集」「ペレアスとメリザンド

 

ここは挿絵本のボリュームゾーンです。多くの出版社がフランス文学のスタンダードをテキストに挿絵本を出しました。中でもピアッツァ社は有名です。他社より一桁多い発行部数でコストを吸収し、その分ポショワールのグレードを上げて魅力的な本を出版しました。部数が多い分、古書価格も低いので100年後の愛好家にとってもありがたい出版社です。

そんなピアッツァ社からは、高度なテキスト組み込み挿絵が美しい「青い鳥」、各章の装飾挿絵がユニークな「君と僕 1939年版」、優美な挿絵と装飾模様が華やかな「七宝とカメオ」、見開きいっぱいの挿絵とレトリーヌ(飾り文字)が魅力的な「風車小屋便り」、そして全12巻で挿絵もボリュームたっぷりの「ミュッセ作品集」、以上5点をノミネートします。

もう一点、マプモンド社から「ペレアスとメリザンド」。物語性豊かな49点もの挿絵が美しい作品です。

このゾーンに名作が多いのもマルティの特徴です。ノミネート以外にも「キャンディド」「マノン・レスコー」やピエール・ロチ全集の「子供の物語」など魅力的な作品が揃っています。

 

〈  残念な一冊「ランジェ侯爵夫人」〉

銅版画 + ポショワールという凝った技法の挿絵本ですが、あるいはそのためか挿絵は5点のみ。オールテキスト(フルページの挿絵)だけで構成するならせめて12点は欲しいところです。

 

次回は部数2000部未満のポショワール作品を取り上げます。(つづく)