青い鳥

アール・デコ挿絵本の魅力を思いつくまま

知られざるアーティスト          アンドレ・ドマン「悪の華」

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 今でこそファンの多いアールデコ挿絵本ですが、日本で知られはじめたのはせいぜいここ十数年ではないでしょうか。

鹿島茂氏は1993年に出した「バルビエコレクションⅡ ビリチスの歌」で自著を「ビリチスの歌(バルビエ挿絵)の初紹介」と述べています。また荒俣宏氏は1994年の「不思議のアールデコ」の中で、今では大人気のA.E.マルティを「知られざるアールデコ・アーティスト」と紹介しているくらいです。おそらくこのあたりが日本でのアールデコ挿絵本 "こと始め" でしょう。

バルビエやマルティは愛好家の中ではすっかりメジャーになりましたが、今なお知られざるアールデコの名手は数多く存在するようです。

アンドレ・ドマンもその一人です。家具デザインが本業なので挿絵本は多くありませんがどれも魅力的です。中でもこの「悪の華」は、スタイルとしてのアールデコに終わらずボードレールの代表作を象徴主義的に表現した傑作と言えます。

ため息の出るような美しい装丁ともよくマッチして、アールデコ挿絵本がテキストと挿絵と装丁からなる総合芸術に他ならないと気づかされます。出版は装丁家にして豪華本の版元でもあるルネ・キフェール。

 

今日の一冊 : ボードレール悪の華」  1920年、ルネ ・ キフェール刊。